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【スタッフインタビュー】「hologram(ホログラム)ことばとチョコレート」出会えた“好き”がかたちに、始まりの物語。

「hologram(ホログラム)ことばとチョコレート」魅力の裏側、こぼれ話。その続きは、今回の企画・制作進行を担当するカフェ&ブックス ビブリオテークのディレクター兼バイヤーを務めるほしばさんにインタビュー。フェアが生まれた背景や制作秘話など気になるエピソードについて聞きました。

一目惚れから始まり、
たくさんの人とつながることができた。

ー まず始めに、伊藤 紺さんと脇田あすかさんとの出会いから教えていただけますでしょうか?

私が伊藤 紺さんの作品を知ったきっかけは吉祥寺にある「百年」という本屋さんでした。古書から新刊、リトルプレスまで取り揃うギャラリー&ショップなのですが、数年前そこで伊藤さんの歌集『肌に流れる透明な気持ち』に出会い、たちまちファンになりました。胸をじいんと響かせてくれるものばかり。ゆらりと流れる時のような脇田あすかさんのブックデザインにも惹かれ「めっちゃ良い本に出会えた!」とドキドキしながら買って帰りました。綴られた歌を丁寧に読みふけりながら、二人のインスタグラムをフォローして思い焦がれてました。

とても素敵な本でしたのでビブリオテークのお客様にも知って欲しい!と思い立ち伊藤さんに直接オファーしました。第二歌集『満ちる腕*』と共に店頭とオンラインストアで取り扱いスタートしたときは本当に嬉しかったです。

ー バレンタインに歌集を贈るって素敵ですよね。
企画が生まれたきっかけや背景などあれば教えてください。

伊藤さんの短歌は“日常”に生まれる微かな気持ちの音みたいに、ついつい「めっちゃその感情わかるなぁ」って自分と重ね合わせながら読んでしまうところが魅力なんです。なかでも特に私がグッとくるのは、恋の歌。心がじんわりと熱を帯びるというか…めちゃめちゃ惹きつけられるんです!いつか機会があれば一緒に何かできたらいいなぁという思いはずっと心にありましたね。

いつものように「やっぱ恋の歌いいな」と眺めていたときバレンタインに何かできたら面白いかなって思いすぐさま伊藤さんへ相談したところ「ぜひ一緒にやりたい」と快くお返事をいただいて。デザインについては、やはり伊藤さんと脇田さんは最強バディーですから、信頼を寄せる脇田さんにという伊藤さんの思いもあり、私たちも脇田さんがやってくださるならぜひお願いしたい!という念願も叶い、バレンタインフェアのプロジェクトがスタートしました。

ー ホシバさんからの提案で実現した本なのですね。

そうですね。作品自体はお二人の自由な発想と表現力を目一杯引き出すことができればと思い、私はできる限りのサポートをしたという感じです。編集も伊藤さんと脇田さんのアイディアが溢れていて、お二人の趣向を凝らした特別な一冊となっています。短歌は「小さなミラクル」というテーマに沿って創作されているのですが、そのベースとなる背景やシーン、気分をメモに書き留めるスタイルで行われました。あらゆる場面や色んなところでメモが取られていて。そのなかから伊藤さんが17首を厳選し、そのベースとなった創作メモが巻末付録に収められています。

伊藤さんから「できました!」とあがってくるたび本当にどれもすごく良かった!もうそれはたくさん素敵な歌があって…!これはわたしの好きなことを仕事にした特権というか…ファンとしては新作をいち早く見れることは正直すごく嬉しかったですね。途中こうなってたけど最後こうなったとか、若干言い回しが変わったりとか、そういった流れも見れたり。途中経過を垣間見ながら、伊藤さんの制作風景を少し覗くことができたのは普段得られない貴重な経験でした。

ー 表紙のホログラムもとても綺麗ですよね。
ぬくもりを感じるミシン目の製本も心がととのう感じで素敵です。

そうなんです!この歌集では私自身初めて、製本やパッケージまで一貫して制作に携わることができたのですが、とても多くのことを学ばせてもらいました。この表紙も職人さんが本当に丁寧に加工してくださってるんです。

今回このような経験ができたことで、作って販売する側としての責任や考え方、また自分自身消費者としての価値観などとても揺さぶられましたね。お客さまも含め、たくさんの人と出会い、様々な人とつながれたような気がします。

こちらの歌集をきっかけにこれまでビブリオテークを知らなかった方々に知ってもらえたことは本当にありがたいです。その逆で、ビブリオテークからお二人を知るきっかけになっていたらもっと嬉しいですね。ファンの方々やSNSから広がり、店舗に訪れてくださる方、オンラインストアから全国へ繋がって。店があるエリア以外の場所にも「hologram」が色んな方の手元に届いたのはとても嬉しいですね。

「やりたいです!」「いいね、やってみなよ!」
アルバイトでも気持ちを尊重して背中を押してくれる環境。

ー 今回の企画様々な業務にあたるほしばさん。
ビブリオテークではたらくことを選んだ決め手は何だったのでしょうか?

会社員を辞めてアルバイトを探そうとしたとき、ふと「梅田にあるあそこのカフェで働きたいな」と脳裏をよぎったのがきっかけでした。なぜかというと、働いていた人たちがものすごく個性的な人ばかりだったんですね。パッとみて、際立った人が多かったんです。当時はまだ私服にサロンを巻いた営業スタイルだったのですが、自分が好きな服を着て、颯爽と働いている姿を見て、なんだか楽しそう!と思い、応募しました。店の雰囲気やユニークな本を置いている点ももちろん良かったのですが、わたしはどちらかというと働いているスタッフに惹かれたというのが一番の理由でしたね!

カフェの仕事自体も楽しかったですし、いざ入ってみたらやっぱり一緒に働く“ヒト”も魅力的でした。実際、絵本作家や音楽家など自分の「好き」を仕事にして掛け持ちするスタッフも多くて。そんなクリエイティブな人たちと一緒に働くことはすごく刺激がありました。仲間とのコミュニケーションも楽しくてあっという間に2〜3年が経ち、アートブックやデザイン雑貨が好きだったので物販の仕事もしたいとも思っていました。

ー なるほど、その流れでバイヤー業務へ。という感じでしょうか?

自分から名乗り出ました。ちょうどその頃、本と雑貨の新しい店「ブックマーク ビブリオテーク*」立ち上げの話を聞いたんですよね。当時アルバイトでしたが、すぐさま手をあげました。やりたい気持ちを組んでもらえて、柔軟に聞いてくれる社風ならではなのかもしれません。「やりたいです!」「ほなやるか」という感じで、私は立ち上げチームに加わりました!

店舗の新規オープンから仕入れまで私にとって全部が初めてづくしでしたから、まずは本の流通の仕組みや雑貨の仕入れの基本的なことから教わって学びつつ、実際自分で「いいな」と思ったブランドへコンタクトを取ったりなど徐々に仕事を覚えながらオープンを迎えました。

ー 初めてのオープン立ち上げ仕事。印象に残ってるエピソード、いっぱいありそうですね。

そうですね、たくさんありますよ。今でも覚えているのは、最初の催しでショップインショップ「DESPERADO+MAS」というイベントを開催した時のことです。作家物や一点ものの作品販売でした。『DESPERADO(デスペラード)』には関西にもファンが沢山いらっしゃるので、初日からお客様がドドドと押し寄せて、商品が次々とみなさんの手に渡って行く光景を目の当たりにしたんです。そのとき感じた衝撃は今も忘れられません。

今思えば私はあのとき、大量生産では味わえないヒトの手でつくられるクラフト作品や手仕事品の魅力に惹きこまれていたんでしょうね。それからもっと雑貨の世界にのめり込んでいきました。

ー お客様の購買体験を通して “見える世界が広がった” という感じですね。

そうなんです。この会社の良いところというか、びっくりする凄いところは経験の少ない若かった私にも「とりあえずやってみる?」マインドがあるところなんです。ブックマーク ビブリオテーク*がオープンしてまもなく、私は段階的に本や雑貨のセレクトも行わせてもらうようになり、ホール仕事も好きだったのでカフェと物販業務、両方の仕事にあたっていました。

それから数年後、自由が丘店を立ち上げるため東京へやって来ました。自由が丘店はショップスペースも併設されるため、店長兼任で本格的にバイヤーを任され、商談や展示会周りなど新しいブランドを見つけたり、様々なクリエイターの作品に触れる機会も多くなりましたね!次第にワークショップやトークショー、受注会など精力的に活動していきました。

ー 物販から販促、フェアの企画など幅広い仕事にあたるほしばさん。
普段はどのようなお仕事が中心なのでしょうか?

今メインで動いているのは、視覚的にお店の良さをきちんとお客様に伝える仕事です。季節メニューやフェアなどスタッフと一生懸命考えて準備したものがまっすぐお客様へ伝わるようビジュアルデザインに落とし込む、販促ツールの制作進行が中心です。メニュー開発の担当者にこだわりを聞いたり、試食会を開いて意見を言い合ったり。店舗とデザイナーとお客様のあいだに入り、よりわかりやすく伝えるための架け橋のような役割をしています。写真も重要な要素なので、撮影イメージを固めてフォトグラファーさんと二人三脚でやっています。

このままで良いのか迷ったら「好き」なほうへ。
今、私の原動力となるもの。

ー 仕事への原動力となるものはありますか?

伊藤 紺さんとの出会いのときのように、私は本屋さんが好きで、休みの日や時間があると本屋へ行くんです。そこで素敵な本と出会うと、これがけっこう刺激をもらえるんですよね。「この人と一緒に何かしたい」とワクワクした思いが込み上げてくるんです。そして、実現したときの喜びはひとしおです。そういえば、ビブリオテークでアルバイトを始めたきっかけも刺激をもらえそうな仲間に惹かれてましたね!

ー 最後に、今後チャレンジしたいことを教えてください!

これからも自分自身がいいな、素敵だなと思っている作家さんの紹介はもっと実施していきたいです。その方のファンはもちろん、通りすがりの人も、ふらっとカフェに訪れた人も、その作家さんを好きになってもらえるような。わたしが「百年」さんで伊藤 紺さんと出会ったように素敵な偶然に出会える場所をつくりたいですね。

ひと昔前なら物販は購入されて終わりなんですけど、でも今は、それがどんな風に使われていてとか、感想が書かれていたり、SNSで直接お客様の声が見えて、買われたその先が知れますから。本当にすごく嬉しいですし、励みにもなります。たぶん、自分の“好き”が波紋のように広がる感覚を実感できる瞬間なんですよね。

料理が好き、写真が好き、パンが好き、服が好き、旅行が好き・・・どんなことでもいいから「こういうのが好きです!」と、自分の“好き”を持っている人が集まってビブリオテークで一緒に何かをカタチにできたら楽しいですし、きっと毎日が充実して面白そうですよね。そういう人にたくさん出会いたいですね、そのひとのお気に入りとかすごく知りたいです!


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カフェ&ブックス ビブリオテークでは、このようなクリエイターとのコラボレーション企画を今後も定期的に行っていく予定です。「アイデアをカタチにしたい」「カルチャー好きを活かしたい」という方を募集中!下記よりご応募を受け付けております。

https://cpcenter-recruit.jbplt.jp


 

『hologram』
著:伊藤 紺
デザイン:脇田あすか

Special thanks [敬称略]
冊子・箱の制作ディレクション:EP Print 北川夏希
箱の製作:株式会社泰清紙器製作所
冊子の箔押し加工:有限会社コスモテック
製本:有限会社篠原紙工
チョコレートの製造:SOCOLA Lotus to Sakura

「hologram(ホログラム)“ことばとチョコレート”」
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